2002 年9月3日、香港出 身のアマチュア天文学者Kwong Yu Yeung(楊 光宇)は小惑星と 思われる物体を発見した。J002E3と仮称されたこの物体は、地球を周回する軌道上に存在していることが判明 し、世界中の天文学者を驚かせた。なぜなら通常はこのような軌道を周回する衛星は、地球・月・太陽の摂動に よってすぐに軌道外にはじき出されてしまうからである。ス ペクトル分析の結果、この物体の表面はサターンV の塗料と同じ二 酸化チタンで覆われていることが明らかになった。そして軌道変数を計算すると、この小惑星と思われた物体は、ア ポロ12号の第三段であることが判明した。
12号のミッション当時、地上の管制官は宇宙船を切り離した後、S-IVB を惑星軌道に乗せるよう操作したが、ロケットの燃焼時間が長すぎた。そのためスイングバイ軌道で月を通過する距離が離れすぎ、速度が不足したため地球を周 回する軌道上に残ってしまったのである。なお1971年当 時には、12号のS-IVB は重力の摂動により、31年後には再び地球の重力圏にとらえられると考えられていた。しかしその後J002E3は、2003年6 月に地球周回軌道を離れ、太陽を周回する軌道に移行した。